思想のテーブル 1990~2025

須崎祐次 | YUJI SUSAKI

2025.6.7 sat - 6.29 Sun —Free Entrance

14:00 -20:00 OPEN

この度、OVERGROUNDでは須崎祐次の個展を開催いたします。
本展は彼にとって初の1990~ 2025までの35年分の選抜された作品展示になります。

思想のテーブル 1990~2025

会期:2025.6.7(土) - 6.29(日)
時間:14:00 - 20:00
場所:OVERGROUND
休廊日:火・水曜日
入場料:無料

オープニングプレビュー
日程:2025.6.6(金)
時間:17:00 - 21:00
入場料:無料

 

須崎祐次

須崎祐次は1963年 東京で生まれ、日本大学芸術学部写真学科を卒業後 New York に渡米します。
N.Y では、写真を中心に、版画、油絵などの作品も手がけ、
1992年帰国し、写真作家,版画家として活動を開始するとともに、広告、ファッション、音楽など の商業写真も行います。
そして現在、須崎の作品が持つブラックユーモアとエロスを、写真という平面から立体作品へと 広げています。

須崎が幼少期を過ごした1 9 6 0 ~ 7 0 年代前半の団地は、高度成長期の日本の縮図と言えまし た。
高台に十何棟とそびえる幾何学的な集合住宅には何百という家族が暮らしていて、希望に満ちて働 く夫婦、そしてたくさんの元気な子どもたち。皆、一人残らず日本の経済成長を体感していまし た。
そこで育った彼は物心ついた頃から、団地の中で南側に咲く花々や落葉樹と北側を埋める苔やシ ダなど「光と影」の違いを敏感に感じてしまう子どもとして育ち、その視覚的な鋭さは年を追う ごとに増していきます。
また、彼は急激な経済成長とは対照的に、当時の人々の葛藤を写し出すかの様な幻想的作品に影 響を受け、少年期を過ごしました。当時から培われた想像力、妄想を伴う発想は、インファンテ リズム(幼児性)として今でも作品の根幹になっています。

創作する上でもっとも重要視しているのは彼自身の「良心と本心」。
ここで言う「良心」は理性が生み出す判断、「本心」は作者として欲するがままの思い。
もちろん、良心的に作者としての判断を優先することもあり、本心から理性的な発想をすること もあります。
その狭間で生み出される葛藤を同時に作品に反映させることはリスクをはらみ、一種の不安定さ を生み出します。しかしながら、陰と陽、表と裏は一見相反する物でありながら実は2つで1つ の世界だと感じます。
作品の中で「良心」と「本心」がお互い主張する感覚を研磨させていく過程。
その芸術の淵をいくようなギリギリの創作こそ、彼が追い求めているものなのです。

須崎が心引かれる題材は、日本の隠れた文化や習慣そしてサブカルチャー。芸術作品で扱われる ことは少なく、見過ごされることの多い分野でもあります。
一例として、1 9 9 0 年代より手がけた「C o s p l a y m a d e i n J a p a n 」は、
当時一部のマニアが隠れて愛好していたものの、今や世界的にファンが増え、文化として確立さす るまでになりました。
須崎はそれを ”なぜ人間は装うのか” と問いかけ、彼の妄想衣装と共に作品を完成させました。
そういった「光」と「影」の狭間にあるものに、彼は引き寄せられているのだと思います。
彼は人間の「表」と「裏」を切り取ることで「人間とは何か」により踏みこんだ作品を創作し、 日本の隠れた文化や習慣を通して幼少時代に嗅いだ「表裏一体」の世界を再現しているのです。

2015年ごろより須崎は “ 穴 ” をテーマに作品を作り始めます。きっかけはこうです。

古代中国の哲学者に老子という人物がいる。その人はこんな言葉を2500年前に残している。” 人間の穴という部分は、欲をつかさどる物だ。人間の持つ全ての穴を塞いでしまえば、悟りを開 くのは容易な事だろう”と。(鼻、口、耳、お尻の穴、などなど)
しかし 彼の場合は,こう考えました。

”人間とは、その数カ所の穴をフル活用してこそが,人間が人間として生きていられるのではない か。その欲こそが人間を成長させ、また破壊にも追いやる。それが人間というものなのである。 人間とは本当に面白い生き物である。 ”  

そして彼の実際のエピソードにこんなものがあるそうです。

高校時代にバスケの試合で行った,ある更衣室での出来事。その少し薄汚れた更衣室の壁に1cm 程の穴が空いていた。その頃の男子にとって,その ”穴” の存在は、まるで宝物を見つけた様な感情 に襲われる。その小さな穴は奥へ奥へと無限に広がり、最大限の期待へと導かれていく。

そう、女子更衣室につながる魔法の穴だったのだ。その小さな小さな穴は、彼への最大級な妄想 へと広がり、悟りとは無縁の ” 欲と背徳感 “ で覆い尽くされたそうです。案の定その日は、生涯忘 れられない最高な1日になったそうです。

かぶき的な彼のブラックユーモアでエロスな作風は今でも進化を続け、日本の”今昔”を紡ぎ出し続 けています。
あらゆる性的タブーを露わにすることで、刺激的な仕掛けに満ち溢れ、好色的な視点であっても ユーモアに満ち溢れた彼の作品群は観る人々に、不快さではなく、楽しさと愉快さを与えてくれ ます。

本展では、1990~2025までに制作された須崎のオリジナル作品を展示いたします。

本展を皆様にご高覧いただけますと幸いです。

 

Please find the press release at the link below.

 

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